法人の内部留保をどうするのか?経営者にとって判断が分かれるポイントでもあります。バーチャルオフィスの法人ユーザーでは、大半が経費計上による赤字ないしとんとんぐらいに抑えているのが常です。しかしながら、節税対策や事業への投資を行っても、きちんと利益が出ており、毎年法人税をしっかり払いながら内部留保を蓄積している法人もあります。
そこで、内部留保を経営戦略によってどう使っていくのか?パターン別にご紹介していきたいと思います。
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1.事業継続性を最優先
コロナではっきりしました。内部留保を緊急事態の為に用意しておかなければ、倒産・廃業してしまいます。いろいろな指標がありますが、月商の2か月分だったり1年分だったり。どれが正しいとは言えませんが、少なくとも事業のジャンルによって、天災・疫病・戦争を考慮し、予測される期間分の内部留保を持っておくことで危機対応でき、不測の事態でも社員や事業を守ることが出来ます。よって、ある程度の内部留保を蓄積する理由としては、事業継続性を高める為にストックすることが正しいのかもしれません。
2.金融商品で運用する
個人と同じで法人も内部留保を元手に資産運用をすることが出来ます。正し、個人だと簡易に税金が約20%のところ、法人の場合は、それ以上かかるケースもある為、税金という視点からは効率的ではありません。しかしながら、損失に関しては、個人よりもより長期間相殺することが出来るので、長期的なスタンスで投資をすることができます。
例えば、100万円の内部留保があった場合、100万円広告を打てば200万円の売り上げで利益が10万円残るとします。仮にこれが単発の収益だとしても、そこから仕事が広がるかもしれませんから、100万円の投資で利益が10万円~20万円になるかもしれません。この場合、利回りは単年度で10%ですからかなり良い運用と言えます。ほとんどのケースで事業利回りは、運用利回りを上回りますから、ビジネスに使ったほうが基本的には賢いです。
ただし、事業内容や事業規模においては、それが微妙になるケースがあります。1億円使って仮に利益が300万円。つまり3%の純利益だとした場合、金融商品に投資したほうがシンプルで利益率も高くなってしまいます。1億円を使う事業ともなれば、人や物が介在しいろいろな手間や労力も発生します。そうなると事業投資するのか、金融投資するのか。お金だけを考えると検討しなければいけない段階がやってきます。
もちろん、企業においてミッションなどにそった内部留保の使い方をするはずですので、金融商品への投資は、邪道とも言えるかもしれません。しかしながら、金融商品への投資で得た利益を使って、ミッションをより大きく実現するために活用できるのも事実です。
3.M&Aなど買収資金にする
昨今では、玉石混交ではありますがM&A案件も小さなものから出てくるようになりました。内部留保を事業継続性に確保しながら、良い案件があり次第、買収資金に使用する。と言った使い方も可能です。前項で紹介した金融商品への投資とM&A資金にすること。これは両立が難しくなります。
金融商品への投資は、市況からの影響を強く受けますし、基本中長期で運用する為、資金の取り崩しが難しくなります。よって、M&Aに活用しようと考えるのであれば1番目の事業継続性として確保しつつ、M&A資金に充てる名目で内部留保を拡大していくのが良いかもしれません。
4.新規事業への投資
既存事業がある程度煮つまったところ。時代背景などのタイミング。新規事業の予算確保が意外に重要だったりします。「これを今からやればいける!」そう考えても手元資金がなければ、借入や出資により資金調達するしかありません。事業継続性を確保し、M&Aの機会をうかがうとともに、社内での新規事業への予算としても内部留保を積み上げていく。ここまで来ると何も計画通りに進んでいない。ことになりがちですが、実際いろいろな要素に対応できるのが内部留保でもあります。
5.取引先への出資や融資
意外にビジネスをやっていると出くわすのが、知人や取引先への出資や融資です。結局、こういった事態は内部留保の積み増しが足りないなど、ある程度、経営者の経営責任によるものですが、支援要請が来ることもあります。こういったケースにおいても、内容次第で内部留保を活用することができます。
まとめ
経営者により考え方は、様々ですが社長がもらって上記に備えるケースもありますし、会社に留保していくケースもあります。何が正しい、間違いというのではなく、やはり経営者の考えや性格、ビジョンなどによって変わってくるものでもあります。事業を行う限り、代表者も法人も常にかつかつなのであれば、それは問題があるかもしれません。1~5のケースに備え、個人か法人で対応できるようにある程度のキャッシュを保有しておくのは、経営上必要であると言えそうです。