事務所を構えることなく、住所や電話番号などが借りられるバーチャルオフィスは、初めて起業する人にとっても利用しやすいのが特徴です。
一方で、バーチャルオフィスの特性として起こりうるトラブルについても、理解が必要です。今回の記事では、バーチャルオフィスでのトラブル事例について紹介します。
【住所編】バーチャルオフィスのトラブル
バーチャルオフィスで、住所を借りる際に起こりうるトラブルには、商号の重複や本社としての登記が認められないなどが挙げられます。
商号重複
バーチャルオフィスでは、同じ住所に複数の企業が存在します。同じ住所で会社の商号(法人名)が重複すると、会社設立の登記ができません。
商号の重複がないかどうかは、登記前に法務局で商号調査をすることが可能です。同じ住所に類似した商号がないか、事前に必ず調べておきましょう。
本店所在地として登記が認められない
バーチャルオフィスによっては、規約上、本店として登記ができない場合があります。バーチャルオフィスを借りる目的が登記であれば、別のオフィスを探す必要が出てきます。
また、登記ができたとしても、基本料金に加えて追加料金が発生するケースがあります。
上述したこれらのトラブルを防ぐには、本社所在地として登記ができるか事前にバーチャルオフィスの運営会社に確認をとっておきましょう。
【郵便編】バーチャルオフィスのトラブル
バーチャルオフィスのサービスのひとつに、利用者に届いた郵便物の受け取りがあります。郵便物の取り扱いについて、実際に起きているトラブルを紹介します。
顧客の郵便物の取り扱い
過去に、バーチャルオフィスの代理店が、利用者宛の郵便物を第三者へ渡してしまうトラブルが発生しています。原因は、本来郵便物を渡すときに義務付けられている「本人確認」を怠ったことが挙げられます。
郵便物受け取りの際に、きちんと利用者との本人確認を行っているかどうかを、オフィスの選択・契約前に必ず確認しておかないといけません。
ネットショップ返品の受け取り拒否
ネットショップを開業すると、さまざまな理由により購入者から商品が返品されてきます。
バーチャルオフィスでは受け取り可能な荷物のサイズは、オフィスごとで決まっています。
万が一商品が返品されてきた場合、受け取り可能なサイズよりも超過している荷物は受け取りができなくなるのです。
すると、返品された商品を発注者が受け取れないまま、購入者に商品が返送されてしまうこともあり得ます。結果、最終的な交換手続きに時間がかかってしまい、大きなクレームにつながってしまうなど、非常に危険です。
そのため、バーチャルオフィスでネットショップを開く場合は、事前に荷物の受け取り可能サイズを確認しましょう。
【信用面】バーチャルオフィスのトラブル
バーチャルオフィスは、架空の事務所であるため、信用面でのトラブルは少なからず起きています。以下では、実際に起きているトラブル例を紹介します。
預金口座が開設できない
2011年に、警察庁が全国銀行協会とゆうちょ銀行に対して、バーチャルオフィスの口座開設厳格化を求めました。現在では、以前ほど厳格ではないといわれているものの、バーチャルオフィスに対しての口座開設に慎重な金融機関も多いようです。
本店所在地と実際の業務場所が一致しないと、口座開設ができない金融機関もあります。口座開設が可能かどうか、事前に金融機関へ確認し、十分な準備を行いましょう。
社会保険加入拒否
企業は、事務所に帳簿や賃金台帳などを保管しておく義務がありますが、バーチャルオフィスでは書類の保管ができません。このため、年金事務所によっては社会保険への加入を拒否するケースがあるとされています。
ただし、すべての年金事務所で拒否しているわけではなく、帳簿類の保管場所が別に確保されていれば加入が認められた事例もあります。このため、管轄する年金事務所に相談、あるいは話し合ってみましょう。
融資を受けられない
運営資金などの融資を受けたくとも、登記場所に事務所の実態がないバーチャルオフィスでは金融機関から不信感を持たれて「信用がおけない」と判断されるケースがあります。
不信感を拭い去るには、金融機関の担当者に実態を細かく伝え、企業の経営状況などを理解してもらうことが大事です。金融機関で理解を得られれば、融資が認められる可能性が出てきます。
バーチャルオフィスでのトラブルを防止する方法
バーチャルオフィスは、正しい手続きに基づいて利用すれば、メリットが大きいビジネススタイルです。これまで紹介したようなトラブルを未然に防ぐ方法について、お伝えします。
本人確認や審査の実施があるかを確認する
バーチャルオフィスは、犯罪に利用されるのを防ぐために、犯罪収益移転防止法による特定事業者に指定されています。入居の申込をすると、本人確認や入居審査が厳格に行われることが一般的です。
対して、上述した本人確認などが行われないバーチャルオフィスは危険度が高いため、契約前にしっかりと入居審査を行っているか確認すると良いでしょう。
サービスや設備の内容を確認する
バーチャルオフィスが提供するサービスや設備は、運営者によって大きく異なります。登記の可否や料金制度をはじめ、設備を使うことを想定しながら詳細をチェックしていきましょう。
特に、郵便物の受け取り・保管・転送サービスの有無などは、多くの利用者が希望するサービスです。内容がどの程度充実しているかの確認を怠らないようにしましょう。
全国にバーチャルオフィスを51拠点展開しているKarigoでは、荷物管理システムを導入しており、荷物の管理や履歴が24時間365日可能となっております。
2006年の営業開始当初から、法令遵守や防犯対策を徹底しているうえ、審査の際にも本人確認および住所確認をしっかり行っておりますので、安心してご利用ください。
バーチャルオフィスでのトラブルを防ぎつつ快適に利用し、スムーズに起業を進めたいと考えている方は、ぜひKarigoにお問い合わせください。
まとめ
バーチャルオフィスは、信用の確保だけでなく、起業時のコストを抑えたりプライバシーの保護につなげられたりします。
今回紹介したようなトラブルが起こることなく、スムーズな利用ができるように、契約するバーチャルオフィスのサービス内容をしっかり把握するようにしましょう。