昔ほどではなくなったものの、「バーチャルオフィスに住民票はおけるのか?」と問い合わせがある場合があります。バーチャルオフィスが出来る前の私設私書箱などでは、よく契約者が勝手に(知らずに)住民票を置いて使っていることも多くあったそうです。
前提として現住所ではない場所に住民票をおく事は、違法である可能性が高い為、推奨しているわけではありません。こういう理由での用途が考えられますが、各種ガイドライン、法律などに抵触する可能性があるので気を付けてください。という趣旨になります(Karigoでは、利用規約上住民票をおくことは出来ません)。
ただ、例えば実家が北海道で東京に来ている学生や社会人。この場合、実家には住んでいませんが住民票は実家。現住所は東京。と言う実態と現実的には類似している点も挙げておきたいと思います。
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住民票をおく理由
なぜバーチャルオフィスに住民票を置きたいのか?ここでは、予測ながら住民票を現住所ではない場所に置く理由を検証してみます。
越境通学させたい
目当ての学校へ通わせる為、現住所ではない場所に住民票を置きたいニーズがあるようです。例えば、公立であと少しの距離なのに希望の学校へ行けない。だから、住民票をその学区内に置く為にバーチャルオフィスを契約し、住民票を置き目当ての学校へ通わせる為に移動するなどの理由です。こういったケースでも学校のガイドラインや行政、国の法律に抵触してしまいます。中には、知り合いの家に住民票をおく例もあるそうです。
入札に参加したい
行政や国への入札に参加する場合、住民票がそのエリアにあることが条件になっている場合があります。入札条件をクリアする為に、住民票をバーチャルオフィスや私設私書箱に置くこともあるようです。この場合、刑事罰が科せられることもありますので、やってはいけない事例です。
海外へ赴任・移住する
海外へ数年単位で赴任する場合、多くの人が住民票を抜きます。ただ、何かしらの理由で住民票を置いたままにしたい人の多くは、知人や実家などに住民票を移しておき、主要な郵便物を受け取ったり契約を維持したりするようです。こういった場合にもバーチャルオフィスへ住民票を置いておけば、カバーできそうですが税制やその他の法律上、違法となってしまうケースがある為、注意したいところです。
特定のエリアに納税したい
特に芸能人、スポーツ選手、実業家に多いのがこの理由になります。住民票を置いている場所に納税する地方税などがありますので、納税目的でも住民票を置く場所を考える人が一定数います。但し、ふるさと納税や寄付なども出来ることから数は少なくなっていますが、納税したいところに住民票を置くというのは、一定数のニーズがありそうです。そういえば、ある有名人も「●●に住民票を移した」「●●から住民票を抜こうかな」と言及する人もいますから、納税と住民票は関連性が高いと言えそうです。
助成金・補助金を受けたい
直近の事例で言えば、千代田区住民に10万円が配られる報道がありました。極端な話、配る時点の〇か月前に住民票がある者。などの条件が無ければ、千代田区に住民票を移しておくだけで10万円の給付金がもらえる話になります。このケースでは、ものすごくケチな話ではありますが、ビジネスなどになると金額も大きくなります。その為、入札などと近い理由で助成金・補助金を受ける為に、バーチャルオフィスへ住民票を移す事で条件をクリアするという使い方も想定できそうです。
バーチャルオフィスで住民票はNG
まとめとして、バーチャルオフィスでは住民票をおくことはNGです。私設私書箱なども同様です。分からなくもない理由が「海外赴任・海外移住」です。日本の住居を引き払ったら自分の郵便物はどうなるのか?ここに関しては、サービスニーズがありそう気がしますし、合法に出来そうなスキームも考えられそうです。
ただ、国家としても世界に出る日本人を支援しようとしなければ、各種公的な制度を変えるのは難しいかもしれません。本籍や住民票と言った不可思議な仕組み。未だに様々な公的手続きや通知が郵送であることを考えると、今後の民間サービスに期待したいところです。