オフィスを借りるための初期費用や賃料は高額になりがちで、起業の際には負担が大きいものです。コストを抑えるために、自宅をオフィスとして利用できないかと考える方もいるでしょう。
しかし、自宅兼オフィスは事業で不利に働くケースもあるため、安易に決めない方が良いです。
今回は自宅兼オフィスのメリット・デメリットや注意点、自宅以外に安く賢くオフィスを借りる方法を解説します。
自宅兼オフィスのメリット
起業や法人成りしたばかりの方、個人事業主の方にとって、自宅兼オフィスにはさまざまなメリットがあります。具体的にはどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
事務所の仲介手数料や保証金がかからない
自宅兼オフィスにする大きなメリットが、事務所の仲介手数料や保証金、敷金、礼金などの費用がかからないことです。
オフィスを借りるときの保証金は、家賃の6~12ヶ月分程度の金額になるのが一般的で、保証金だけでもかなりの費用がかかります。自宅をオフィスにすれば、仲介手数料や保証金などがかからないので、初期費用が大幅に削減できるのです。
また、駅からの距離や家賃などの条件を満たすオフィスを探し、内見したり契約手続きをしたりするのは手間と時間がかかります。自宅兼オフィスであれば、そうしたオフィス探しにかかる手間も省くことが可能です。
生活費や税金、保険料の一部が経費になる
自宅とオフィスが分かれている場合、水道光熱費や税金などをそれぞれ支払う必要があるためコストがかさみます。
対して、自宅兼オフィスの場合は、オフィスとして利用している面積などを基準に、水道光熱費や税金などの一部を事業運営のための必要経費にすることが可能です。水道光熱費などを経費計上すると所得額が減るため、節税につながります。
家事や子育てをしながら仕事ができる
自宅兼オフィスにすると、家事や子育てをしながら仕事ができるというメリットもあります。自宅以外にオフィスを借りていると、オフィスにいる間は家事や子育て、介護などに時間を充てることができません。
しかし、自宅がオフィスであれば、仕事の合間に家事をしたり子育てや介護に時間を使ったりと、プライベートを考慮して仕事の予定を組めます。空き時間を活用して、自分の時間も確保できるでしょう。
通勤時間が短縮でき、思い立ったときにいつでも仕事ができる
自宅兼オフィスにすると、通勤時間がなくなります。その分の時間を仕事や家事などに充てられるので、時間に余裕ができるでしょう。思い立ったときに、すぐに仕事ができるというメリットもあります。
満員電車に乗ったり、時間を気にしつつ移動したりする必要もないので、ストレスも軽減できるでしょう。
自宅兼オフィスのデメリット
コスト削減や通勤時間の短縮など、魅力的なメリットがある自宅兼オフィスですが、いくつかデメリットもあります。
事業に影響が出る可能性もあるため、デメリットも把握したうえで、自宅兼オフィスにするのか、別にオフィスを借りるべきかを検討しましょう。
自宅が知られるリスクがある
自宅兼オフィスのデメリットのひとつが、不特定多数の人に自宅住所を知られるリスクがあることです。事業と関係のないDMが届いたり、営業が来たりする可能性もあります。
専用のオフィスならまだしも、自分や家族が住む家に他人が訪れるのは抵抗がある方も多いのではないでしょうか。
プライバシーや安全性の確保が難しくなることもあるので、特に家族がいる場合は、自宅をオフィスにしても大丈夫なのかをよく考えましょう。
会社や事業の信用力が下がってしまう
自宅兼オフィスは、会社や事業の信用力が下がるというデメリットもあります。オフィスを借りる際には、審査を通過しなくてはなりません。また、初期費用などでまとまった資金が必要です。
そのため、しっかりオフィスを構えている法人のほうが、審査に通過できる信用力と資金力があるとみなされるのです。
自宅をオフィスにしていると、オフィスを借りられるほどの信用力がないとされ、取引がスムーズにいかないケースもあります。
特に大手企業などは、新たに取引をはじめる際にオフィスを訪問するなど与信審査を行うこともあるため、自宅兼オフィスだと不利になる可能性もあるでしょう。
プライベートとのメリハリがつきづらい
自宅兼オフィスは、プライベートとのメリハリがつきづらいのもデメリットです。
自分の趣味のものなどをたくさん置いていると、ついそちらに意識がいってしまい、思うように仕事に集中しにくくなることも少なくありません。一方で、いつでも仕事ができる環境であるため、長時間労働になってしまうこともあります。
自宅をオフィスにする際の注意点
自宅兼オフィスを検討する際に、いくつか確認しておきたい注意事項があります。詳しく見ていきましょう。
自宅をオフィスにしても問題ない職種であるか
自宅兼オフィスにするか悩む前に、そもそも自宅をオフィスにしても問題がない職種なのかを考えてみましょう。
自宅兼オフィスが向いているのは、以下のように店舗が不要で商品や在庫を抱えることがない職種、自ら顧客のところに出向くことが多い職種です。
・IT、インターネット関連事業
・クリエイター、youtuber
・コンサルティング業 など
商品や在庫がある職種では、自宅の一部を店舗に改装できる人でもない限り、自宅兼オフィスにするのは難しいでしょう。
また、頻繁に来客がある職種では、企業に対する信頼やプライバシー、安全面での不安があるため、自宅兼オフィスは向いていません。
場合によっては自宅をオフィスにできないことがある
自宅をオフィスとして使えるのかも、確認しておきたいポイントです。賃貸の場合、オフィス利用には大家や管理会社の許可を取らなくてはなりません。
オフィス利用不可の物件もあり、勝手にオフィスとして使っているとトラブルにつながることもあるため、事前に確認しておきましょう。
また、持ち家の場合も、自宅兼オフィスにすることで住宅ローン控除が受けられなくなることがあるため注意が必要です。
間取りが確保できそうか
自宅兼オフィスにするための間取りが確保できるかも確認しましょう。仕事で使うデスクや椅子、パソコンなどの備品を置くには、それなりのスペースが必要です。
プライベートとのメリハリをつけるために、オフィス用の部屋を用意するなどの配慮もしたいところです。
自宅のなかにオフィスとして使える部屋やスペースがあるのか、ない場合は背の高い家具などでスペースを区切れるかなどを考えてみましょう。
自宅以外にも賢くオフィスを借りる方法がある!
費用面が気になって自宅兼オフィスにすることを考えているのであれば、自宅以外にも選択肢があります。
お得に利用できるオフィスの種類
以下のようなオフィスであれば、比較的、安価に借りることができます。
・シェアオフィス
・レンタルオフィス
・バーチャルオフィス
とりあえず作業できるスペースが確保できれば良いのか、個室が欲しいのか、住所だけ使えれば良いのかなど、希望に合わせて選びましょう。
作業スペースがいらないならバーチャルオフィスがおすすめ
自宅住所を非公開にしたいだけであり、作業スペースや個室が必要ないという場合は、バーチャルオフィスがおすすめです。
シェアオフィスやレンタルオフィスとは異なり、住所だけをレンタルするサービスなので、圧倒的に費用が安く済みます。
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まとめ
自宅兼オフィスは、オフィスを借りるよりも費用が安く済み、子育てなどの時間を取りやすい、通勤時間がかからないなどのメリットもあります。
一方で、プライバシーや安全性の確保が難しくなる、事業の信用力が下がるなどのデメリットもあるため、費用が安いからと安易に自宅兼オフィスにするのは避けるのが賢明です。
最近は、シェアオフィスやバーチャルオフィスなど、オフィスの選択肢も増えているので、本当に自宅兼オフィスにしても良いのかどうかを慎重に検討しましょう。